シンポジウム「米子の文庫を開く」報告(11.19)
11月19日の土曜日、米子市立図書館2階多目的研修室にて、市立図書館リニューアルオープン記念シンポジウム「米子の文庫(ふみくら)を開く~歌のつながり」が開催されました。
このシンポジウムは、平成22年11月、市立図書館20周年記念事業として開かられたシンポジウム「和歌の力、米子の力」に続くものとして企画されたイベントでした。
講演①では島根大学講師・野本瑠美先生から「奉納和歌の発生と展開」と題して、専門的な話を聞くことができました。野本先生は、「奉納」の定義について語られ、古くは万葉集にも遡求できるのではないか。また、歌集や歌合だけが「奉納」ではなく、一首だけでも「奉納」とする見方が出てきたことなども指摘されました。また山陰地方の奉納和歌についても、概略を説明してくださいました。
講演②の島根大学名誉教授・芦田耕一先生からは、「鹿島分家短冊帖から 出雲歌壇とのつながり」という演題の講演でした。とりわけ今回の芦田先生の報告は、鹿島分家(下鹿)短冊帖の中に、出雲大社を中心とした歌壇の著名人が多数参加していることを指摘され、米子と出雲歌壇の深いつながりについて言及され、さらなる資料の発見が期待されると強調されました。
講演③では、このシンポジウムのコーディネーターを務めてくださった米子高専の原豊二先生から、「米子歌人の系譜」について講演がありました。特に元禄期に活躍した竹時安斎、と幕末に活躍した鹿島長行、重正などについて詳しい紹介がありました。
三人の先生方の講演の後には、原先生より展示資料の解説があり、シンポジウムに参加された皆さんが熱心に原先生の解説に聴き入っていました。また最後には、講師3人の先生によるパネルディスカッションがあり、より専門的な視点からの議論を聞くことができました。
この資料展示は市立図書館2階、市民ギャラリーで29日まで展示しています。