フォーラム「弓浜半島のトンド」(1.20)

   1月19日の土曜日、県立米子産業体育館中会議室を会場に、伯耆文化研究会主催による「弓浜半島のトンド」が開催されました。
 このフォーラムは、昨年末に鳥取県教育委員会から刊行された「弓浜半島のトンド」調査報告書の刊行を記念して、12月15日に夢みなとタワーで開催された調査報告講演会が実施されたところ大変好評を得たため、このたび内容をさらに充実したフォーラム形式に改め、伯耆文化研究会の主催として実施されたものです。
 調査報告書の発行元でもある鳥取県教育委員会文化財課の中森祥係長の挨拶によって始められたフォーラムは、先ず坂田友宏先生による「古い神祀りの姿を伝える貴重な民俗」と題して基調報告をされました。坂田先生は、従来トンドは神送りの行事と考えられてきたが、本来は神迎えの性格を持っていたものではないか、という自説を披露され、小正月の各地の火祭りを紹介しながら、弓浜半島トンドの特徴的な事例をわかり易く説明されました。特に、トンドさんと氏神(産土神)の一体となった信仰には、トンド行事の起源にも関わる重要な要素があるのでは、という指摘は大変興味深いものでした。
 続いて、靍(つる)理恵子吉備国際大学准教授からは、「生活に根付くトンド」という報告がありました。靍先生はトンドの内容を検討するのではなく、この行事が「講」から自治会へとバトンタッチされ、社会状況の変化に対応して、行事そのものが変容してきた現象についてお話されました。最後は鳥取県教育委員会文化財主事の松本絵里さんから「弓浜半島のトンド神輿にみる建築的特徴」についての報告がありました。神社建築と神輿の形の関係、県下でも東西でその形が違う点など、興味深い報告となりました。
 最後には国田先生の司会により、三人のパネリストと聴衆の質疑応答があり、熱心な討議を聴くことができました。
 参加者は120となり、資料が足りなくなるほどの大盛況のうちにフォーラムを終わることができました。

           伯耆文化フォーラム1

    伯耆文化フォーラム3  伯耆文化フォーラム4

    伯耆文化フォーラム5  伯耆文化フォーラム6

  米子市立図書館所蔵資料「とんど講帳・其他綴 」を会場に展示して、多くの方にみていただくことが出来ました。

参加 120名