11月10日(土)、米子市立図書館2階の多目的研修室で、伯耆文化研究会11月例会が開催されました。
最初の発表は、佐々木邦広さんの「境港の戦前写真絵葉書について」です。佐々木さんは、明治・大正・昭和初期の境港の様子を写した写真絵葉書を、ネットオークションも含め全国各地から収集し、年代別、項目別に整理されました。
写真絵葉書は、まだ各家庭にカメラのない時代の故郷を克明に写した貴重な写真です。
船舶(大阪商船、阪鶴丸、隠岐汽船、合同汽船など)、鉄道(境線の開設、停車場など)、山陰地方初の灯台や測候所、東宮殿下(のちの大正天皇)の山陰行啓、海水浴場、防波堤、台場公園、美保関沖事件(1927年)、商店街、商用看板など、多岐にわたって珍しい写真の紹介がありました。特に、佐々木氏の祖母が偶然写っていたという絵葉書の話には驚かされました。
次は篠田建三さんが、国道9号(県道皆生車尾線―県道皆生西原線)のロードサイド店舗立地について発表されました。
篠田さんは、狭隘(きょうあい)だった旧国道(旧日野橋~東高前~元町通り~陰田町)から現国道(新日野橋~皆生道路交差点~深浦橋)への移り変わりを丁寧に説明され、昭和43年の産業道路の完成とともに国道9号の交通環境も急速に変わったことを紹介されました。新国道沿いになった中島では、この20年間に世帯数が14倍に増え、急速に住宅化が進んだそうです。
篠田さんは、新旧の地形図や車輌・道路交通量・世帯数など、多様な資料を用いて店舗を分類され、特に広大な店舗面積を必要とする自動車関連の進出が著しいことを説明されました。
いつもながらに、店舗を分類し、年度ごとに符号化して詳細に図示しておられる資料は力作でした。
この日は、「米子城フェスタ」のイベント等と重なってしまい、例会の出席者が通常より少なく残念でしたが、とても興味ある面白い発表でした。