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お知らせ

報告 講演会   2024/07/02

図書館文化講演会「源氏物語はおもしろい」ご報告

 令和6年6月29日(土)午前10時30分より米子市立図書館・多目的研修室にて

講師に元鳥取県教育長の中永廣樹氏をお迎えして、文化講演会「源氏物語はおもしろい」を

開催しました。

 中永先生は、著書『源氏物語を読んでみよう  紫式部が伝えたかった「大切なこと」』

を今年2月に出版され、出版直後、地元書店のベストセラーとなり、図書館内でも、

予約多数の人気の本となりました。現在、テレビで放送中の大河ドラマの影響も併せて、

講演会の参加申込みが多数となり、会場の机をとり、椅子を可能な限り並べることにし、

定員を大幅に増やしての開催となりました。

 中永先生は、選び抜いた言葉で、簡潔で明瞭、笑いを交えての素晴らしい講演会をして

くださり、千年前の世界最古の長編小説『源氏物語』の魅力と奥深さを、

会場に集まってくださった約160名の市民の皆様とともに共有することができました。

 

 中永先生は講演で、平安中期にできた源氏物語は、天皇4代、70年間を描き、

天皇の皇子で臣下に下った光源氏とその子孫たちの物語であること。

当時すでにひらがなは私的な文章として、主に女性によって使用されており、

紫式部はこのひらがなによって、微に入り細に入り、自由にリアルな心理描写を表現したこと。

登場人物は光源氏を始め、その数400人を超え、それらの登場人物を自由自在に操り描き上げていること。

その文才は、学者である父の影響を受けており、夫との死別、大事な一人娘の存在が、源氏物語

を書くきっかけになったことなど、物語全54帖のあらすじと構成、紫式部の人となり、

物語成立の背景などについての話をしてくださいました。

 最後に、中永先生は、源氏物語の魅力、おもしろさについて、

それは現代を生きる私たちの大切なテーマに通じるものだということをおっしゃいました。

人間が生きるということはどういうことか、人間にとって大切なものとは何か、

愛することや、人の心とは何かというテーマであり、時代が移り、社会がどんなに進歩しても、

人の心は千年前とそう変わらないものであるとおっしゃいました。

 

 そして、紫式部が伝えたかった「大切なこと」とは、

このテーマに込められた「見えないもの」であり、それは自分で探さないと

いけないものであること、皮肉にもそれは失ったときに始めて本当の大切さを

知ることになるのだということ、紫式部は、いつの時代にも変わることのない

普遍的な「人の心の真理」を描いたのだということをおっしゃいました。

 

 中永先生の講演を拝聴し、『源氏物語』のおもしろさを改めて感じるとともに、

紫式部の描く「真理」に少しでも触れることができ、「源氏物語はおもしろ

い」、ぜひ「読んでみたい」と興味が沸く、大変有意義な講演会となりました。

 

 協力していただいた、参加者のアンケートでも、

「源氏物語、あせらずゆっくりと読んでみます」

「大学で学んでいたので、先生のお話しを聞いて、もう一度平安文学を

勉強してみたいという気持ちにさせて頂いて感謝しています」

「本当におもしろいお話しで源氏物語を読んでみたいと思いました」など

たくさん感想をいただきました。

 

 中永先生、参加してくださった皆様方、大変ありがとうございました。

 当日講演会に参加できなかった方々に対しましても、講演会のご報告と

させていただきます。

 

  なお、7月11日(木)まで2階・市民ギャラリーにて図書館展示「源氏物語はおもしろい」

を開催しています。(月曜日は休館日です)

 中永先生の著書や、郷土出身の近代源氏物語研究の大家 池田亀鑑の『源氏物語大成全14

冊』、アーサー・ウェイリー英訳の日本語再翻訳本や、林望、田辺聖子、角田光代等による現代

語訳本など、沢山の源氏物語関連書を展示・貸出しています。

 なお、7月12日以降、1階ヤングアダルトコーナー前付近に源氏物語関連図書を展示し

引き続きご利用できますのでぜひお楽しみください。