04/23(火)の開館時間 9:00~19:00

お知らせ

2階市民ギャラリー 文化講演会 見る場所を見る2+ 開催報告   2023/08/13

文化講演会 ギャラリートーク「イラストによる記憶の復元-『見る場所』と交通網の変遷を辿る」を開催しました【報告】

2023年8月11日(金・祝)、多目的研修室で米子市立図書館令和5年度文化講演会を開催しました。

今年度は、現在図書館2階市民ギャラリーで8月30日(水)まで開催中の展覧会「見る場所を見る2+」と連動したギャラリートークという形で開催しました。講師はこの展示の企画者である鳥取大学地域学部付属芸術文化センターの佐々木友輔さん、杵島和泉さん、ゲストに今回の展示でイラストを描いていただいている鳥取市在住のイラストレーターClaraさん、米子シネマクラブ会長の吉田明弘さんにお越しいただきました。

最初に、佐々木さんから今回の展覧会の趣旨について説明がありました。佐々木さんは2016年から鳥取市に在住され、映画館がとても少ない地域の現状を知ります。一方で、鳥取では自主映画上映活動が盛んに行われ、国際的にも注目を集めています。このような映画文化が息吹くまで、鳥取の人はどのように映画と出会ってきたのか? 佐々木さんはかつて鳥取県内に数多くあった映画館の情報を追い求めますが、その情報はわずかなものであり、映画館に通った人々の記憶も薄れていることが分かりました。

佐々木さんは、なんとか映画館の様子を再現し、人々の記憶を呼び起こせないかと模索されます。そこで、地方映画史を記述するための方法論として、イラストレーションドキュメンタリーという手法を考えられました。これは、カメラを使ったドキュメントではなく、かつてあった映画館やレンタルショップをイラストにすることで、それを見た人々の記憶を呼び起こすというものです。わずかな手がかりを元に描かれた鮮やかなイラストを見て、「この映画館はもっとこんな色だった」「こんな町並みだった」と、私たちの記憶は鮮明に当時のことを思い浮かべることができます。そこで集まった情報をもとに、また調査研究を行い、イラストにして展示をする…というサイクルを行う過程で、より確かな地方映画史が見えてくるということでした。佐々木さんのこの手法に欠かせないのが、イラストレーターのClaraさんの存在であり、Claraさんのイラストがあるからこそイラストレーションドキュメンタリーという方法論ができることを語られました。

 

今回の展覧会は鳥取県内では3回目となり、1回目、2回目は鳥取市で開催されました。米子市での開催は初となります。1回目は鳥取市内の映画館やレンタルショップ、2回目は米子市と境港市の映画館やレンタルショップについての展覧会でした。3回目となる今回は、2回目の内容に米子の鉄道の発展がもたらした映画の受容という研究を加え、2+という編成での開催となりました。

続いて、杵島さんによる米子の鉄道と映画館の歴史についての考察発表がありました。米子市朝日町にかつて存在した朝日座は、米子に鉄道が開通する以前に芝居小屋として開業し、米子の文化と町の発展に大きく貢献してきたこと、朝日町と隣接する角盤町には数多くの映画館が誕生し、同時期の交通網の変遷、発展によって、米子の繁華街が米子港周辺から米子駅を主体とする道笑町、法勝寺町に移ったこと、映画館と商店街の相乗効果で、米子にさらなる活気が生まれたことを、丁寧な文献調査をもとに解説されました。

山陰座、米子大劇、リツリン映劇のそれぞれの特徴についても語られました。昭和29年に高橋ユニオンズが米子にやってきて、米子大劇が試合前夜祭の会場となったこと、リツリン映劇が映画館プログラムを発行していたことなど、とても興味深い内容が盛りだくさんでした。

後半はClaraさんと米子シネマクラブの吉田明弘さんを交えた4人のトークを楽しみました。吉田さんは米子、境港における映画館やレンタルショップの変遷や、地方と都市部との違いについて語られました。Claraさんは鳥取市の映画館で働いていた経験もあり、映画館という場所自体を愛していること、子どものころの映画館の思い出を語られました。

映画館をはじめ、昔の町並み、風景、建物など、私たちの記憶はどんどん風化していきます。映画館から町の歴史の変遷をたどるという手法はとても新しく、懐かしい記憶が呼び起こされ、あんなことがあった、こんなことがあったと、誰かと共有したくなります。とても楽しく、あっというまの1時間半でした。52名の方にご参加していただく盛会となりました。

佐々木さん、杵島さん、Claraさん、吉田さん、会場にお越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。

8月30日(水)まで、図書館2階市民ギャラリーにて「見る場所を見る2+」展覧会を引き続き開催中です。Claraさんの描かれた懐かしい映画館のイラストや、ノンフィルム資料を展示しています。かつて米子市民が愛した映画館に思いを馳せてみませんか? ギャラリートークで配布したパンフレット冊子も、今回講師の方々のご厚意によりギャラリーにて無料で配布中です。

また、ギャラリーには皆様がこれまでに観た映画や映画館、レンタルショップの思い出を書いていただくコーナーも併設し、掲示させていただいております。まだまだ鳥取県内の映画館情報を募集中ですので、ぜひたくさんの情報をお寄せください。