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報告 郷土文化講演会   2021/09/18

「八百比丘尼伝説のこと」講演会開催しました【報告】

令和3年9月18日(土)、米子市立図書館郷土文化講演会「八百比丘尼伝説のこと」を開催しました。

元鳥取短期大学教授の酒井董美さんをお招きし、米子市粟島に伝わる八百比丘尼伝説についてお話いただきました。

米子には「赤松の池の大蛇」「藤内狐」「粟島の八百比丘尼」など、誰もが知っている有名な民話が多くあります。粟島の八百比丘尼は「はっぴゃくびくさん」という名前でも親しまれ、長い間人々に語り継がれてきました。酒井さんはまず、この「八百比丘尼」の呼称については、「やおびくに」「はっぴゃくびくに」と様々であることを語られました。

また、八百比丘尼伝説は全国各地に分布しており、中には八百に二百を足した千年比丘尼なども存在するということでした。

全国の伝説の例として、富山県中新川郡立山町下田に伝わる白比丘尼の伝説を挙げられました。八百比丘尼伝説のモチーフとして、漁師が竜宮城に招かれて人魚の肉をごちそうになる、土産にその肉をもらい、家に帰ると漁師の娘がそれを食べてしまい、年を取らなくなる、やがて尼として諸国を巡業し、木などを植えて人々に福をもたらす、という話の型があるということでした。

酒井先生が実際に収集された語りの音源も会場で流され、米子市粟島の八百比丘尼と、島根県浜田市に伝わる千年比丘尼の語りを聴きました。この音源は鳥取県立博物館のHPと、出雲かんべの里HPでも一般公開されています。

酒井先生が今年の春に出版された『新山陰の民話とわらべ歌』『山陰民話とわらべ歌改訂版』には、QRコードが掲載されており、このコードを読み取ると鳥取県立博物館HPの民話の音源にアクセスできるようにもなっています。今回の講演会レジュメにもQRコードが掲載されており、民話の世界をより一層楽しむことができるようになっていました。民話の世界に新たな現代の風を吹き込む酒井先生の計らいがとても素敵でした。

また、全国の八百比丘尼伝説は、人魚の肉を食べて尼になった女性が、その後松を植えたり、橋をかけたりして、様々な福を人々に授けたモチーフが多くあることを語られました。これは、八百比丘尼伝説が仏教信仰に関連がありながらも、古くからの祖霊信仰も融合しているのではということでした。

米子の粟島は中海に面しており、海は祖霊の住む常世の国に続いていること、海の人魚には長寿のパワーが秘められており、人魚の肉を持ち帰る父親も漁師という海に関わる仕事をしている点で、人魚の力を得るのにふさわしい環境であることを語られました。