令和8年7月26日、8月23日に「英語で楽しむ物語~『老人と海』(アーネスト・ヘミングウェイ)を読む~」〈全2回〉を開催しました。
講師に米子工業高等専門学校名誉教授の酒井康宏先生をお招きし、テキストに『THE OLD MAN AND THE SEA』(講談社英語文庫)を使ってヘミングウェイの名作を原文で楽しみました。
講座でははじめに英文を読む際のポイントとして、分からない単語があっても読み飛ばしながら、最後まで文章全体に目を通すことや、「or」「and」などの接続詞に注目し、文章がどのような方向に展開しているのかを捉えることなどを教えていただきました。

第1回では、物語の前半、老漁師サンチャゴが大物のマカジキを釣り上げるまでを原文で読み進め、英文の表現や物語の展開について丁寧に解説していただきました。
第2回では、物語の後半を原文で読み進めるとともに、ヘミングウェイが生きた時代背景や「ロスト・ジェネレーション」についても詳しくお話しいただきました。
全2回を通して、ヘミングウェイの簡潔な表現の中に込められた深い意味についても解説していただき、原文ならではの表現に触れながら『老人と海』を味わいました。
また先生からは、英語は正解を求めたり、点をとったりするためだけのものではないというお話もありました。
一つひとつの単語や文法にとらわれるのではなく、物語を読み進めながら英語そのものを楽しむ――試験勉強とはひと味違う、文学作品を原文で読む楽しさを感じることのできる講座となりました。
全2回にわたりご講義いただきました酒井先生、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
最後に、第2回目の講座内で寄せられたご質問について、酒井先生よりご回答をいただきましたので、ご紹介します。
(質問)
タイトル『老人と海』にあるように、なぜ「老人」なのでしょうか?
(1つの回答)
作家ヘミングウェイの書簡や周辺のインタビューから考えられることは、主人公を若者ではなく老人にすることで、作家は人生の黄昏に位置する「人間の孤独、忍耐、誇り等」を描いていると思われます。
肉体や精神が極端に衰える老人の中にこそ、今まで生きてきた経験、失敗、尊厳が説得力のある形で前面に描き切れると思われるからです。
従って、作家ヘミングウェイは、老人を「弱い人間」として描いているのではなく、人としての強さを、失敗を
乗り越え一番強い存在としての尊厳を、描きたかったのだろうと思われます。