令和7年11月9日(日)米子市立図書館2階多目的研修室にて開催の
文化講演会「源氏物語の原文を味わう~葵の巻・賢木(さかき)の巻~」の報告をいたします。
講師は中永廣樹氏(元鳥取県教育長)で、昨年度に引き続き3回目の講演会となりました。
この度の講演会は、源氏物語の名場面を、葵の巻、賢木の巻について、
原文を味わいながら、中永先生の簡潔明瞭な、ユーモアを交えながらの解説を聞くことで、
会場にお集まりの参加者の皆さま方とともに、心ゆくまでその世界を満喫しました。

中永先生は、葵の巻から5つの場面、
①葵の上一行と六条御息所一行の車争い ②車争いによる六条御息所の苦悩
③物の怪(け)、懐妊中の葵の上にとりつく ④光源氏、御息所の物の怪と対面し、驚愕する
⑤葵の上男児出産。御息所、自らの所業に驚き、苦悩する
をとり上げて、原文とともに詳しく解説をされました。

特に、この葵の巻と次の賢木の巻の主要人物であり、源氏物語の全体の中でも圧倒的存在感を持つ
六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)を中心に、光源氏との複雑な関係性、御息所の苦悩、人物としての魅力について、
作者紫式部の描く六条御息所の心理描写、現実か夢か分からない表現の中での
物の怪の場面の緊迫感など、巧みな情景描写についてなどを解説されました。
また、当時の物の怪信仰についても、疫病や人の恨みなど、医学や科学がなかった時代において、それは
社会的に影響力の強い信仰であったことなど、時代背景についても触れられました。

葵の巻に続く賢木の巻については、光源氏が六条御息所を嵯峨野・野の宮に訪ね、
男と女の別れの和歌を詠み合う場面について、二人の心象風景を余韻と共に味わうことができました。
人間の、愛する上の苦悩や怨恨について、
突然の病や男女の別れや死など、世のはかなさについて、
中永先生の言われる、源氏物語のテーマである、
「人の心のありようの真理」について、これら二つの巻を通じて感じ、
味わう会となりました。
また、中永先生は
「大切なものは心で見ないと見えない」というサン=テグジュペリの言葉を引用されましたが、
人間にとって大切なものは、心で見ないと見えないものであり、
丁寧な言葉で書かれた書物をきちんと読み、大切なものを深く心で味わい読んでいくことの
大切さについても学ぶことができました。
参加された皆様方からも、
・源氏物語の名場面の原文を読み下しながら解説していただきありがとうございました。
基本的なお話もあり、現代語訳を読んだだけとも違い、楽しく分かりやすかったです。
・感謝とわくわくで心が一杯になります。
・紫式部の心情の表現の表現の素晴らしさが先生の解説でよく分かりました。
あっという間の一時間半でした。
・映画の一場面を見ているようでした。
・素晴らしい講義を受けました。音を通じた源氏物語楽しかったです。
などたくさんの感想が寄せられました。
中永先生、参加された皆様方、大変ありがとうございました。
(参加人数96名)