令和7年6月22日、7月20日、9月21日に、英語講座「英語で楽しむ物語『シャーロック・ホームズの冒険』を読む』」(全3回)を開催しました。
講師に国立米子工業高等専門学校名誉教授の酒井康宏先生をお招きし、テキストに『The Adventures of Sherlock Holmes』(講談社英語文庫)を使ってホームズの世界を原著で楽しみました。当初、定員は30名としていましたが、定員を大幅に超える50名にお申込みをいただく盛会となりました。
第1回「赤毛クラブ」第2回「まだらのひも」第3回「ブナの木屋敷」
先生は、物語の背景であるヴィクトリア朝時代は文学の全盛時代であり、「吸血鬼ドラキュラ」などのホラー作品が出版された時代であったこと、また、ロンドンでは切り裂きジャックの事件があり、そうした闇の中で誕生したのが「シャーロック・ホームズ」だったということをお話されました。
原文を読むと、作者のコナン・ドイルが掛詞などの言葉遊びをしていたり、アメリカを意識した表現があったりすることもわかりました。こうした発見は、原文に触れてはじめてわかるものであり、日本語訳だけでは決して味わえない面白さがあることがわかりました。
また、酒井先生は多読の方法についても触れられ、まずは文章に目を通し、わからない単語は読み飛ばしてもよいこと、or,andなど接続詞に注意して読むと、その文章が良い方に流れているのか、悪い方に流れているのか見極めることができることを説明されました。
3回目の講座では、単語の覚え方についても、大変参考になりました。
酒井先生の講座は、単語や文法を覚える学校の授業とは違い、英米文学の面白さ、その物語の文化背景などに触れられ、英語が苦手でも、英語をもっと勉強したいという気持ちになる楽しい講座です。毎回参加者の方から寄せられた疑問や、英語の勉強方法などの質問にも丁寧にご回答いただき、お一人お一人に寄り添ったあたたかい講座でした。
酒井先生、ご参加いただきました皆様、大変ありがとうございました。
最後に、3回目の講座「『ブナの木屋敷』を読む」のアンケートで寄せられたご質問に対する先生の回答が届きましたので、ご紹介します。ご質問者の方にお届けできますと幸いです。
ご質問:(「ブナの木屋敷」の文中)ルーカッスル夫妻の息子のことをa little creatureという表現をしていたのは、その性質や幼さからまだ人としては認められない存在ということでしょうか。
先生からのご回答:
ご指摘の通り、この”creature”は「人間」というよりは「動物」に近い描き方がされていると思われます。
まず英語の”creature”ですが、大まかに言って「生物」と「人間」の2つの意味があり、この場面に描かれている
「子供」の描写は、「とても甘やかされた、性悪な」といった形容詞の用い方、さらに体つきも「年の割に小さく、頭が体と比べて不均衡なくらい大きい」といった描写で描かれています。ただしあくまでも比喩表現です。