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11月例会 伯耆文化研究会 報告   2025/11/11

伯耆文化研究会11月例会開催報告

11月8日(土)、米子市立図書館の多目的研修室において、伯耆文化研究会の11月例会が開催されました。

「矢田貝家調査プロジェクト研究成果報告会」と題して「山陰地域の生活世界を志学する」(板垣貴志・近現代史研究)、「矢田貝家の家計簿からみる生活」(齋藤邦明・経済研究)、「近世村落地主の作庭記」(田中宏夫・庭園研究)、「平和な町の行政の記録」(菅原優輔・行政研究)と4題の発表が行われました。

研究代表者の板垣氏は、本研究が「矢田貝家は特徴がないことが特徴、であるがゆえに、いまの生活世界をみつめ、山陰地域の近代経験を問うために重要」と主旨説明し、本研究が大学・行政・住民の三者が連携し、住民参加型のスタイルで取り組まれたことに特質をあるとし、矢田貝家の膨大な歴史資料を通して近代における普遍的な制度基盤が存在していたことを明らかにしながら、「中規模地主」である矢田貝家を通して近代化の歩みを解説、齋藤氏は家計簿を通して戦前の矢田貝家の生活が帝大教授と比肩し、中規模地主だった矢田貝家が相対的に豊かであっことを明らかにされ、田中氏は「矢田貝顯蔵日記」を通して「近代村落の作庭記」と題して、4代目当主顯蔵による作庭事業の一面を明らかにしていただきました。

矢田貝家は江戸初期に出雲地方から日野に移住した家柄であるが、初代齋一郎は江戸末期に現在地に分家して居を構え、日清戦争頃までは醸造業を営んでいましたが、4代顯蔵は、昭和になって屋敷地内に現存する庭園の作庭や茶室の普請に尽力し、戦後は旧岸本町町長を務めた地名人で、現在、矢田貝家は主屋を含めた建物8棟が国有形登録文化財、庭園が鳥取県指定名勝になっています。この「中規模地主」としての特徴を兼ね備えた貴重な文化財を、今後、どのように保存し、利活用したらよいか、課題を与えていていただいた研究発表でした。