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報告 大人のための100選 講演会   2020/11/22

大人のための100選講演会開催しました

11月21日(土)、米子市立図書館多目的研修室にて、「大人のための100選講演会」を開催しました。

<大人のための100選>とは、米子市立図書館が平成29年に開設したコーナーで、様々なジャンルから選書した本を紹介し、読書の新たな楽しみを提案するものです。

この講演会は、コーナーの開設者である大野秀さんをお招きし、100選の本を深く読み、味わう講演会として、毎年ご好評いただいています。

第3回目となる今年のテーマは「信仰を読む」。2部構成となっており、第1部は「哲学」によって親鸞思想を再構築しようとした清沢満之の思想を今村仁司による視点から読み解く『清沢満之の思想』について語られました今村仁司は日本において現代思想を広めた方で、大野さんも大きな影響を受けたそうです。今村さんは1995年に浄土真宗の僧侶である清沢満之に出会い、その哲学精神に多大な影響を受け、晩年を親鸞と清沢の研究に捧げました。

大野さんは清沢の著作『宗教哲学骸骨』を取り上げ、有限と無限について語られました。清沢は西洋哲学の視点で宗教とは何かを論じます。仏教の縁起を有限と無限の関係として構想し、有限な存在である人間と、無限なる宗教の関係性について論じたことを解説されました。

清沢満之によって日本の哲学は始まったこと、哲学、思想、宗教、すべてに通じ、統一的に考えた稀有な人であることを語られました。

 

第2部では、『イエスという男』の著者田川建三について語られました。

最初に、『イエスという男』と合わせて『原始キリスト教史の一断面-福音書文学の成立』を紹介されました。この2冊を読むと田川建三のキリスト教についての考えがよく分かることを解説され、当館で100選の展示を開催した同年に田川建三著『新約聖書 訳と註』7巻全8冊が上梓されたことも語られました。

また、藤沢武義、米子にゆかりのある岩村昇、中村哲氏を紹介されました。キリスト教は長い間、世界中で多くの人に影響を与えてきましたが、このような方たちのつながりをつくったことも、一つの奇蹟なのではないかと語られました。田川建三は「神を信じないクリスチャン」として、過激な考えを持った方であること、聖書の本文(ほうもん)批評を行い、構築し直すということが彼の生涯の仕事であったことを語られました。

 

「信仰を読む」というテーマで語っていただいたこの度の講演会は、51名の方に参加していただく盛会となりました。宗教をテーマにした書物は難解なイメージがあり、どこか遠い存在にも感じていましたが、今回の大野さんのお話を聞き、人とは何か、私たちはどこへ向かうのか考えるとき、信仰と宗教は決して遠い存在ではなく、私たちにとって非常に密接で興味深いテーマであるのだと感じました。また一つ、読書の新たな視点を切り開いていただいた有意義な講演会でした。

今回紹介された清沢満之の思想』と『イエスという男は、図書館1階〈大人のための100選コーナー〉にてご覧いただけます。この講演会でつながった2冊、新たな視点で読み解く面白さ、一味も二味も楽しめる読書をこれからもお楽しみいただけると嬉しいです。

大野さん、ご参加された皆さま、誠にありがとうございました。

大人のための100選コーナー案内